キリスト教にインスピレーションを発するさまざまな思想や、聖書をはじめとしたキリスト教文学、キリスト教音楽、キリスト教美術や建築について、キリスト教信仰の具体的表現としての芸術を学びます。宗教科教員、社会科教員あるいは学芸員を志望する学生にも勧められます。

宗教史角田佑一
仏教の倫理と社会倫理の基礎を理解し、その観点から仏教史、とくに日本仏教史を見直す力をつけ、個別の資料が大きな歴史展望の下でどのような意義をもつかを捉える思考法を養います。また、現代の日本社会の諸問題をめぐる倫理的思考において過去の宗教的伝統がどのように影響しているかを理解する力を養います。
霊性の歴史
カトリック教会が従来扱ってきたテーマ(共同体、祈りと黙想,識別,修道生活,聖性,精神的成長の方法など)を今日的に理解するため、諸宗教と共通し、しかも現代人の心に真に響く思想・精神を歴史的に探求します。
キリスト教と哲学ⅡHAIDAR, Juan
キリスト教の哲学思想の起源と特徴を、自由、善・悪、生と死の問題を手がかりに学びます
キリスト教倫理Ⅱ竹内修一
キリスト教の倫理の基礎となる考え方を、性と結婚・家庭生活、社会・経済生活、政治参加と平和促進、環境保護など多面的に学びます。
キリスト教文学倫理思想片山はるひ
近年特に「物語の知」の重要性が指摘されています。聖書を始め様々な文学作品を題材として用い、現代思想における物語論等を援用しながら、「物語」について考察を深めます。
聖書と倫理武田なほみ
現代社会の日常の中で聖書のメッセージに聴き、それを生き、霊性を深めていくため、聖書の読み方の基礎を学び、生活の中で味わい、対話を通して理解を深めていきます。
キリスト教とコミュニケーションFIRMANSYAH, Antonius
エウカリスチア(聖体の秘跡)について典礼神学の視点から考察します。テーマは①第二ヴァチカン公会議の典礼刷新、②カトリック教会における典礼の象徴的な対話の本質、③エウカリスチアにおける対話的な要素、④典礼的な対話とそのメディアです。
アイルランド研究A小山英之
アイルランド研究A
アイルランド人の底に流れるケルトの知恵・霊性についてのエッセイ集を読みながら、アイルランド人の精神性についての理解を深め、人間と各自の生きる道を洞察することを求めます。

キリスト教文化系・芸術

キリスト教文学Ⅰ、Ⅱ片山はるひ
西洋と日本のキリスト教的伝統の中で育まれた文学作品の分析を通して,神学と文学の接点をさぐります。①「罪、ゆるし、愛」をテーマとするキリスト教詩人の作品、太宰治の作品と三浦綾子の作品を分析研究、②「希望と信仰、神の沈黙,悪の問題」をテーマとすると遠藤周作とイヨネスコ,及びパスカルの作品を中心に研究します。
西洋美術史
西洋古代末期からルネサンスにかけての美術を論じます。中世美術を古典の規範のくびきから開放された自由な造形表現と捉え、キリスト教文化と結びついてロマネスク、ゴシックへと結実した歴史を振り返り、西洋中世・ルネッサンスの美術の流れについて基礎的な知識を身につけます。
教会音楽Ⅰ(歴史)、Ⅱ(典礼)宮越俊光※
およそ2千年に及ぶキリスト教音楽の誕生・発展を学んでいきます。教会音楽は、それが用いられるミサなどの典礼(礼拝)と切り離すことができません。そのため、キリスト教典礼の変遷にもふれながら、各時代の教会音楽の特徴について考察します。
キリスト教と音楽芸術Ⅰ、Ⅱ森裕子
音楽の宗教性について、モーツァルトの音楽を味わうことを通して考察を試みます。また、古代から現代に至るまでに作曲された「信仰宣言」(Credo)の音楽の幾つかを採りあげて、音楽分析的に提示すると同時に、全体を通して信仰の音楽表現の変遷を歴史的にたどります。
キリスト教建築Ⅰ、Ⅱ具正謨
キリスト教会の建築や芸術的要素を歴史的に探ります。キリスト今日の初期時代からゴシック時代まで、また、中世と近世における建築と芸術の特徴を歴史的にたどります。
キリスト教の礼拝具正謨
キリスト教の礼拝の出現、発展の過程を学びます。キリスト教の礼拝と不可分の関係のあるキリスト教の美術・建築・音楽との関係についても論じます。
典礼の歴史と霊性石井祥裕※
ミサをはじめとするキリスト教典礼を歴史の躍動の中で概観し、特にその精神(霊性)のあり様の変化と現代教会の意識に注目します。現代のカトリック教会の歴史的位置を知るため、また、キリスト教の本質を考えるため、典礼の視点がその「かなめ」となることを学びます。
キリスト教の美術Ⅰ、Ⅱ保坂ひろみ※
キリスト教美術の誕生から初期中世に至るまでの歴史を通史的にたどり、各時代を代表する作品や主要テーマについてより深く考察します。また、キリスト教図像学の基礎的な概念を学びます。
※は非常勤講師

キリスト教文化系・聖書

旧約聖書Ⅰ、Ⅱ大西崇生※
旧約聖書の中からいくつかの書物を取り上げ、そこにまとめられた思想の歴史、歴史記述と史実の関係について学びます。とりあげる書物は、創世記から列王記まで続く歴史書、さらにはエズラ・ネヘミヤ記および歴代誌、預言者、詩編、ヨブ記とコヘレトです。
新約聖書Ⅰ、Ⅱ川中仁
新約聖書神学の多様性と一貫性を、①パウロの生涯とその神学、②ヨハネの神学に注目して論じます。
モーセ五書石原良明※
モーセ五書の入門的問題(成立年代、著者、背景など)を説明して後、物語分析の方法を説明しつつ、将来教会や学校での聖書教育を準備するために適当な物語を選んで読んでいきます。
預言者大島力※
預言を残した預言者たちとはどういう存在であり、彼らの預言のことばにはいかなる思想が託されているのかを、聖書本文に即しつつ、また個々の預言者の時代背景をふまえつつ、学んでいきます。
詩編と知恵小友聡
詩編の書の入門的問題、詩編の様式、詩編の解釈法について説明してから、いくつかの詩編を釈義します。キリスト教典礼においても祈りにおいても親しまれている詩編を取り上げます。
福音書田中健三
マルコ福音書全体を、編集史的方法を始め、テキスト各箇所の意味を取り出すために適切な方法を用いて、釈義します。
ヨハネ福音書と初代教会の文書田中健三
ヨハネ福音書と新約諸文書(共観福音書・パウロ書簡を除く)を、編集史的方法や構造分析など適切な方法を用いて釈義します。
パウロ田中健三
第二コリント書の手紙としての統一性の問題、パウロの論敵の問題を丁寧に取り扱いつつ、神学的・釈義的に読み進めます。
※は非常勤講師